ループ状に整備されている「斑尾高原トレイル」は、体力や時間に応じてさまざまなコース設定ができる点が一番の特徴です。分岐点が多く、またトレイルと道路が交差する箇所もいくつかあるので、予定よりも距離を縮めたり、あるいは延ばしたりといった急なルート変更や、ケガ等の緊急時にも迅速に対応できます。レースコースの2つをはじめ、1時間~数時間で回ることのできるおすすめのモデルコースを紹介します。
さらに斑尾山が起点となる全長80kmのロングトレイル「信越トレイル」、そして、斑尾山を含む信越五岳を舞台に開催される「信越五岳トレイルランニングレース」のコースを走るプランニングについてもご紹介します。
50kmコース レースコース
レース出場を目指すならぜひ試走を!
「斑尾高原トレイルランニングレース」の一般クラスのコース。斑尾高原スキー場のレストランハイジ(グリーンシーズンはトイレのみ利用可能)をスタートし、斑尾山(標高1,382m)、袴岳(1,135m)、毛無山(1,022m)と3つの山頂を経由し、再びスタート地点に戻ってくる。ブナの森や花咲く湿原、眺望の良い稜線、湖など見どころも多い。レースの制限時間は9時間なので、走力にもよるが走破するにはまる1日かかる。2日にわけて走る場合は、レース時に第1関門および第3エイドステーションが設置されるレストランバンフ(スタートから23.9km地点)までとすれば、スタート地点にも近くて便利である。
【コースデータ】
距離 50.0km 最大標高差 598m 累積標高差 2,570m トレイル比率 95%
コース
レストランハイジ~ぐん平街道~大池~斑尾林道~大明神岳~斑尾山~レストランバンフ~湿原中央トレイル~沼の原湿原~湿原西トレイル~万坂峠~袴岳~赤池~希望湖~毛無山~希望湖~湿原東トレイル~レストランハイジ
トイレ
5ヶ所(レストランハイジ、まだらおの湯、沼の原湿原、赤池、希望湖)
15kmコース レースコース
初めてでもチャレンジできる入門コース
ビギナークラスのコースもレストランハイジがスタート&ゴールとなる。アップダウンが少ないので、初心者がチャレンジするにもおすすめ。レースの制限時間は3時間なので、早歩き程度のスピードでも半日程度で戻ってくることができる。50kmコースも同様だか、後半に登りがあるので、最後まで体力を残しておこう。
【コースデータ】
距離 15.0km 最大標高差 267m 累積標高差 745m トレイル比率 93%
コース
レストランハイジ~ぐん平街道~レストランバンフ~湿原中央トレイル~希望湖~湿原東トレイル~レストランハイジ
トイレ3ヶ所
(レストランハイジ、沼の原湿原、希望湖)
ショートコース1 山の家~希望湖~山の家
短いながらも変化に富んだおすすめコース
ビジターセンター山の家を起点に希望湖を目指して走るショートコース。スタートから少し車道を走りカラマツ林のトレイルへ。沼の原湿原の脇を通り、車道を横断したら、植樹活動を行っている「生命の森」へ登ろう。看板が建っているビューポイントからは妙高山や黒姫山などを望むことができる。希望湖に到着したら、湖の西側ではブナの巨木やヤエガワカンバの大木なども見ることができる。再度車道を横断し、湿原東トレイルに出たら往路を戻り山の家へ。走り足りない場合は、希望湖のすぐ北にある毛無山に登ってワンウェイで希望湖まで戻ってくるコース(4.8km)を組み合わせることもできる。
【コースデータ】
距離 7.3km 最大標高差 140m 累積標高差 338m トレイル比率92%
コース
山の家~八坊塚トレイル~生命の森(植 樹場所)~希望湖~八坊塚トレイル~山の家
トイレ3ヶ所
(山の家、沼の原湿原、希望湖)
ショートコース2 レストランハイジ~ふるさとの森~ぐん平街道~レストランハイジ
ブナの森の爽快ランを手軽に楽しもう
スタートして10分ほど走るだけで、見事なブナの森が迎えてくれる。「ふるさとの森」と名付けられたその森にはほぼ全域ダブルトラックのトレイルが延びていて、きっと誰もが気持ちよく走れるはずである。5~6月の新緑、そして10~11月の紅葉の時期は特におすすめである。「ふるさとの森」から、一度「まだらおの湯」方面にルートをとり、途中から50kmレースコースを逆走する形で車道を走って「ぐん平街道」方面へ。カラマツ林の中のシングルトラックを少し登ると、スギ林そして美しいブナ林へと変化する。その後ゲレンデを何度か横切り、スタート場所のハイジまでゆっくりと下ろう。
※写真 森の表情の変化を楽しみながら走る
【コースデータ】
距離 9.8km 最大標高差 176m 累積標高差 665m トレイル比率 90%
コース
レストランハイジ~ふるさとの森~ぐん平街道~レストランハイジ
トイレ1ヶ所
(レストランハイジ)
ミドルコース1 山の家~沼の原湿原~袴岳~赤池~希望湖~毛無山~山の家
斑尾高原の見どころを巡るおすすめコース
山の家をスタートし、沼の原湿原方面に下り、袴岳、赤池、希望湖、毛無山とおよそ50kmコースの後半部分と同様のコースをたどる。2つの山頂を越えるため、適度なアップダウンを楽しみながら、斑尾高原のバリエーション豊かなトレイルを堪能できる。一番のハイライトは袴岳のブナの森。特に山頂付近では見事なブナ林が迎えてくれる。赤池、沼の原湿原を経由し、植樹活動を続けている「生命の森」へ。小高い丘の上からほぼ360度の眺望を楽しんだ後は希望湖、毛無山方面へ向かおう。なお、全コースを走りきる自信がないような場合は、状況に応じて毛無山をパスすれば所要時間・距離ともに少なくなるので、分岐点に注意しながら走ろう。
※写真 袴岳のブナの森を駆ける
【コースデータ】
距離 23.5km 最大標高差 305m 累積標高差 1,141m トレイル比率 96%
コース
山の家~八坊塚トレイル~沼の原湿原~湿原西トレイル~万坂峠~袴岳~赤池~希望湖~毛無山~希望湖~八坊塚トレイル~山の家
トイレ4ヶ所
(山の家、沼の原湿原、赤池、希望湖)
ミドルコース2 レストランハイジ~斑尾山~赤池~沼の原湿原~レストランハイジ
斑尾山に登る少しハードなコース
斑尾山頂まで標高差約400mを一気に駆け上がり、赤池方面をぐるりと回る全長約14kmのコース。距離はあまり長くはないがアップダウンがあるので、体力が必要なコースといえる。斑尾高原スキー場のゲレンデを登るトレイルは急坂部分があり、特に夏場は日陰がないので少し応えるが、振り返れば終始関田山脈や志賀高原方面の眺望を楽しむことができる。斑尾山頂まで行ったら、すぐ先の大明神岳まで脚を延ばそう。妙高、黒姫、戸隠、飯縄の四山をはじめ、野尻湖や遠く北アルプスの山並みまで望むことができる。万坂峠まではタングラムスキーサーカスと接するゲレンデを下り、ブナ林に囲まれた赤池へ。赤池には休憩施設があり小休止が可能だ。
※写真 妙高山を正面に見ながら万坂峠に下る
【コースデータ】
距離 14.6km 最大標高差 470m 累積標高差 1,093m トレイル比率 93%
コース
レストランハイジ~かえでの木トレイル~斑尾山~大明神岳~斑尾山~万坂峠~赤池~沼の原湿原~湿原東トレイル~レストランハイジ
トイレ
3ヶ所(レストランハイジ、赤池、沼の原湿原)
ロングコース1 「信越トレイル」
全長80kmのロングトレイルに挑戦しよう
長野・新潟両県の9市町村の境界にまたがる「信越トレイル」(総延長80km)。眺めのいい県境の尾根筋、のどかな農道、歴史を感じる峠道、そして深いブナの森など移り変わる景色やトレイルの表情を一つひとつ楽しみながら走ることができる。日が長い季節でも、1日で全線走破できるのはごく限られたアスリートであり、一般的には2日間もしくは3日間を必要とする。メイントレイルと車道が交差する峠を基点に全6セクション(区間)に分けられており、1日に3セクション分(約35~40km)か、2セクション分(約25~30km)を走る計算となる。スタート時に斑尾高原から見る、弓なりに続く関田山脈の北端部分の天水山にゴールする瞬間は、走った者だけが味わえる達成感があるはずである。
(注意点)
トレイル沿いに湧き水のポイントがいくつかあるものの、売店や自動販売機等はないので、特に気温が上がる夏場は水分・行動食の分量に余裕を持ちたい。また予定通り進めなかった場合のエスケープルートの想定などもしっかりと行う必要がある。なお適期は斑尾高原から桂池あたりまでは5月下旬から、それ以北はさらに雪解けが遅いため6月下旬頃からである。複数人に走ることをおすすめする。
※写真 斑尾山からこれから走る関田山脈の尾根を見る
ロングコース2 110kレースコース試走
信越五岳をめぐる“走る旅”に出発しよう
斑尾山、妙高山、黒姫山、戸隠山、飯縄山の信越五岳(別称:北信五岳)をめぐる全長110kmのコース。袴岳の先までは斑尾50kのレースコースをたどり、そこから妙高高原、黒姫高原、笹ヶ峰高原、戸隠高原、飯綱高原と走っていく。2日間で走るならば1日目でほぼ中間の黒姫高原(51.5km地点)まで行きたい。3日間ならば妙高高原兼俣(38.5km地点)と戸隠高原大橋(81.0km地点)で区切るのが妥当だろう。各高原にはバス路線が整備されているので、工夫次第ではもっと細切れに走り、何度かに分けて走破することもできるだろう。それぞれ雰囲気の異なる各エリアを一気に走り抜けるという、トレイルランニングならではの醍醐味をぜひ体感してほしい。
(注意点)
黒姫高原~笹ヶ峰高原~戸隠高原間は山が深く、携帯電話の電波も入らないエリアが大半なので、できれば複数人で走ることをおすすめする。一方、戸隠高原の奥社参道や鏡池付近等の観光客が特に多いエリアでは走るスピードを落とすなどマナーを守るように。上記「信越トレイル」も同様だが、全域にわたりクマ等の野生生物が生息しているエリアなので、クマ鈴の携帯等対策が必要である。